値段と立地が同じなら迷わず新築を選択する人が大半だと思います。新築と中古で悩んでいる人は、値段や立地に差があるから悩んでいると思います。そこで、仕事でお客様から寄せられた体験談を元に後悔しない物件選びの参考になれば幸いです。
新築と中古の比較
まず、新築物件と中古物件の基本的な違いを確認しておきましょう。
比較項目 | 新築 | 中古 |
---|---|---|
定義 | 築1年未満で、かつ未入居の物件 | 築1年以上、もしくは入居済み |
取引相手 | 売主と直接取引 | 間に仲介会社が入るケースが多い |
消費税 | 〇 必要だが、内税なので販売価格に含まれる | × 不要 |
仲介手数料 | × 販売元が売主なら不要 | △ 原則、物件価格×3%の手数料が必要。 ただし、売主と直接取引の場合は不要 |
価格 | 当初は価格未定。 モデルルーム訪問した人の年収から価格を決定 | 新築時から築5年で10~20%、 築10年で20~30%、 築20年で30~40%ほどの下落が相場 |
内装カスタマイズ | オプション料金が必要になり、 相場より高め。軽微な変更は可能 | 管理規約の範囲内で自由にリフォーム可能 |
共有部分 | 最新の設備が豊富 | 時代相応の設備。 管理状態によっては劣化が激しいケースもある |
修繕積立金 (マンションのみ) | 一時金として修繕積立基金が必要。 また、修繕管理費は安めのケースが多く、 のちに値上がる。 | 修繕積立基金は不要。 修繕管理費は値上がった後のケースが多い。 |
耐震性 | 耐震等級が明確で、 中には免振装置が付いた物件もある | 1981年以前に建てられた物件は 耐震基準を満たしていない可能性あり |
固定資産税 | 軽減措置あり 一戸建て:3年間 マンション:5年間 | 軽減措置なし |
ローン審査 | 担保評価が高いので、 通りやすい | 担保評価が低くなるため、 審査に落ちやすくなる |
未入居でも完成して1年以上経過すると中古物件になってしまいます。そのため、新築物件の販売元は、1年以内に完売させるため、完成後にどんどん値引きしてくるのが通常です。

売れ残り物件ですから、値引きは当然ですし、1年経過すると「新築」と言えなくなるので、何としてでも売りたいわけです。
新築と中古の物件価格の差
新築と中古の価格差はどの程度開きがあるのでしょうか?不動産流通機構が発表したデータによると、首都圏の中古マンションの成約価格と築年数に次の関係見られました。
築年数 | 成約価格 | 専有面積 | ㎡単価 | 単価の下落率 |
---|---|---|---|---|
築0~5年 | 5,411 万円 | 66.83 ㎡ | 81 万円 | 100.0% |
築6~10年 | 4,602 万円 | 67.62 ㎡ | 68 万円 | 84.1% |
築11~15年 | 4,242 万円 | 70.04 ㎡ | 61 万円 | 74.8% |
築16~20年 | 3,716 万円 | 70.42 ㎡ | 53 万円 | 65.2% |
築21~25年 | 2,528 万円 | 65.32 ㎡ | 39 万円 | 47.8% |
築26~30年 | 1,697 万円 | 57.19 ㎡ | 30 万円 | 36.6% |
築31年~ | 1,815 万円 | 57.25 ㎡ | 32 万円 | 39.2% |

10年で15%~20%、20年で35%~50%も価格が落ちるのが相場なのね。
同様に、首都圏の中古一戸建ての成約価格と築年数の関係を見てみましょう。一戸建ての場合、土地面積と建物面積がそれぞれ異なるため、「㎡単価=成約価格÷土地面積」として計算しています。
築年数 | 成約価格 | 土地面積 | 建物面積 | ㎡単価 | 単価の下落率 |
---|---|---|---|---|---|
築0~5年 | 4,149 万円 | 115.76 ㎡ | 97.51 ㎡ | 36 万円 | 100.0% |
築6~10年 | 3,915 万円 | 122.10 ㎡ | 100.49 ㎡ | 32 万円 | 89.5% |
築11~15年 | 3,689 万円 | 131.38 ㎡ | 104.07 ㎡ | 28 万円 | 78.3% |
築16~20年 | 3,555 万円 | 140.11 ㎡ | 109.67 ㎡ | 25 万円 | 70.8% |
築21~25年 | 2,963 万円 | 150.34 ㎡ | 113.14 ㎡ | 20 万円 | 55.0% |
築26~30年 | 2,605 万円 | 173.84 ㎡ | 121.98 ㎡ | 15 万円 | 41.8% |
築31年~ | 2,177 万円 | 165.29 ㎡ | 98.54 ㎡ | 13 万円 | 36.7% |

あら?マンションよりも下落率が緩やかな気がするわね。

戸建ての場合は、「土地の価格」がマンションよりも多く含まれるためですね。

土地は年数が経過しても価値が落ちないからってことね!!
購入時にかかる費用は中古が高い
物件価格は中古のほうが安くても、別途、「仲介手数料」が発生するため注意が必要です。中古の場合は、個人間売買になるため、両者間に仲介役として不動産会社が入るケースが多いんです。すると、仲介してくれた不動産会社に手数料を支払う必要が出てくるんです。

同じ場所に新築5,000万円の物件と、築2年の中古物件4,800万円があります。どちらを買いますか?

2年で200万円の差かー。私は新築にするけど、200万円安くなるなら中古を選ぶ人も居そうね!

おっと!気を付けてください。中古には仲介手数料が必要になるケースがほとんどです。4,800万円×3%+6万円=150万円、つまり、4,950万円の支払いが必要なんです。

えー!それなら迷わず新築ね!仲介手数料も含めて割安か判断しなきゃなのね。
仲介手数料の報酬上限に関する定め
売買価格200万円以下の場合:5%以内の金額
売買価格200万円超、400万円以下の場合:4%+2万円以内
売買価格400万円超の場合:3%+6万円以内
逆に、新築物件のみに必要になる費用もあります。新築分譲マンションで引渡し前に要求される「修繕積立基金」(修繕積立準備金や修繕積立一時金ともいう)です。 これは、マンションにおいて建物を長く保つため、10~15年ごとに実施する大規模修繕に利用されるお金で、30~60万円前後が相場となっています。、

修繕積立基金は、新築マンションのみなので、新築一戸建ての場合は不要です。
中古はローンの担保評価は低くなる
住宅ローンの審査は、信用調査や年収などの「契約者の属性」と、担保とする物件の価値を評価する「担保評価」の2つが審査対象となります。もちろん一番重要なのは「契約者の属性」ですが、保証会社によっては「担保評価」を重視する場合もあります。

返済できなくなったら、担保を売却して返済に充てるつもりだから、それなりの価値があるかを評価するのね。

ただし、築年数が古いと評価が低くなります。特に注意が必要なのが、リノベーション物件です。内装は綺麗になっていますが、建物自体の価値が低く評価されます。

どのくらい古いと審査が通りにくくなるの?

築年数が古いにも関わらず、価格が高い場合は要注意ですね。一概に何年とは言えませんが、一戸建てなら築22年、マンションなら築47年を超えると法令上の建物価値は無くなります。

なお、国の指針として、住宅ローン減税の対象は、一戸建てなら築20年以内、マンションなら築25年以内としています。国がその築年数であれば、減税対象とすると言っているわけですから、ある程度の目安にはなるでしょう。
中古はリフォーム費用も考える
戸建てにしろ、マンションにしろ築10年を超えると、何かしらの修繕リフォームが必要になってきます。その費用も念頭に置いておかなければ、「中古物件+リフォーム費用」の合計が、新築の物件価格よりも高くなってしまうこともあるんです。
修繕箇所 | 修繕内容 | 費用相場 | 期間の目安 |
---|---|---|---|
外壁 | 表面塗装 | 80~120万円 | 10年ごと |
屋根 | 表面塗装 | 40~80万円 | 10年ごと |
ベランダ | トップコート | 10~20万円 | 10年ごと |
給湯器 | 交換 | 20~40万円 | 10年ごと |
キッチン | 交換 | 100~300万円 | 20年ごと |
浴室 | 交換 | 100~300万円 | 20年ごと |
トイレ | 交換 | 30~80万円 | 20年ごと |
洗面台 | 交換 | 20~50万円 | 20年ごと |
床 | 貼り替え | 80~120万円 | 30年ごと |
クロス | 貼り替え | 30~80万円 | 10年ごと |
例えば、築20年のマンションを水回り設備の交換やクロス・床の交換を行う場合、リフォーム費用として最低でも300~400万円は準備しておく必要があります。もちろん、設備のグレードによっても金額は変わるため、あくまで最低となります。
また、戸建ての場合は、内装だけでなく、外壁や屋根の修繕も必要になってくるケースがあり、リフォーム費用はマンションよりも膨らみます。例えば、築20年の戸建てで水回り設備の交換やクロス・床の交換、屋根・外壁塗装を行う場合、 リフォーム費用として最低でも500万円は必要になってきます。築30年の戸建てをスケルトンリフォームする場合は、1000万円以上費用を準備しておくと良いでしょう。実際に戸建てのリフォーム費用にどれぐらい費用をかけたかアンケートを取った際のデータを見てください。


わー!みんなすごいリフォーム費用をかけてるわね!

戸建ては築20年を超えると老朽化が激しいんです。なので、ほとんどがスケルトンリフォームをしているんです。そのため、リフォーム費用が1,000万円を超えるケースが多くなっているんです。
実際にかかるお金を比較してみよう
同じ駅に、新築80㎡で4,980万円の物件と、築20年の中古80㎡で3,800万円があったとします。実際にどんなお金が必要になるのか見比べてみましょう。
比較項目 | 新築80㎡ | 中古80㎡、築20年 |
---|---|---|
物件価格 | 4,980万円 | 3,800万円 |
修繕積立一時金 | 50万円 | 0円 |
仲介手数料 | 0円 | 120万円 |
リフォーム費用 | 0円 | 500万円 |
住宅ローン減税 | 最大400万円 | 最大200万円 |
固定資産税 | 5年間は1/2 | 軽減なし |
まず、新築は4,980万円+50万円=5,030万円が必要になります。しかし、住宅ローン減税で最大400万円の控除があるため、5,030-400=4,630万円と負担額を軽減します。また、固定資産税も5年間は半額になる措置が取られるため、年間20万円の固定資産税が必要だとすると5年で50万円(=20万円×5年÷2)の減税効果があるので、こちらも差引くと 4,630-50=4,580万円が実質負担となります。
次に中古は、3800万円+120万円+500万円=4,420万円が必要になります。中古も住宅ローン減税で最大200万円の控除があるた、 4,420-200=4,220万円が実質負担となります。(固定資産税の軽減措置はない)

ええー!物件価格は1,180万円の差があったのに、実質負担を見てみると360万円まで差が縮まっているわ!!

そうなんです。これが中古の落とし穴なんです。一見安いように見えて、飛びつくと、最終的な負担額はあまり差がないということが起こるんです。

新築と中古では相当な金額差がないと中古にメリットはないのかしら。

中古に価格メリットばかりを求めないほうが良いのです。実は中古の最大のメリットは立地なんです。
中古の最大のメリットは立地
中古のメリットは価格だと思っている人も多いと思いますが、仲介手数料やリフォーム費用で、意外とお金が必要になってしまいます。
中古物件を買うなら、「立地条件を買う」というスタンスで購入すると良いでしょう。新築物件と中古物件では、供給数は圧倒的に中古物件のほうが多いんです。つまり、新築物件では希望の立地条件を探すのは困難になります。
新築は土地が無ければ建ちません。「駅徒歩10分以内で、近所にスーパーやコンビニがあって・・・」と条件をそろえていくと、そんな空き地は見つからないのです。であれば、中古物件で探して、「うちの家ほど良い立地条件はない」という納得感で買うほうが後々後悔しないで済むと考えています。
新築を買って良かったメリット

同じ子育て世代の家族が多いので、お友達も作りやすかったわ

まさかの中古になって値上がりました!周りに商業施設ができて価値があがったようです。

マンションの各階にゴミ置き場があって便利です。鍵も電子キーなので、カバンから出さずに開け閉めできます。
新築を買って後悔したデメリット

実物を見ずに買うため、完成後にイメージが違うところがあった。

入居して2年で修繕計画に無理があることが分かり、修繕積立金が値上がりました。

マンションの駐車場が抽選になり、外れてしまいました。
中古を買って良かったメリット

買う前に事前に眺望とか、実物を見れたのが良かった

離婚で売りに出していたので、相場よりもだいぶ安く値切りました!!

買い物も便利で、保育園も近いから、この場所が最高です。
中古を買って後悔したデメリット

マンションの管理規約が厳しくて、カーペットをフローリングに変更出来なかった。

マンションのネット回線を光回線にしたかったが、住戸に光ファイバーを通せないと言われた。

管理組合の総会に出席すると、住民に高齢者が多くて高齢者目線の意見が反映されがちになる。

購入後にリフォームのために床板を剥がしてみたら、シロアリの巣があった。