住宅ローン控除とは?適用要件は?2021年改正で13年間に延長

住宅ローン

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除(こうじょ)とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得したり、リフォームしたりした場合、一定の要件を満たせば所得税と住民税の一部から一定額が控除される制度(税額控除)です。なお、住宅ローン減税とも呼ばれていますが、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。

控除額が所得税と住民税から控除されるイメージ

最初に所得税から控除額を差し引きますが、所得税から控除しきれない場合は、住民税からも控除します(ただし、住民税の控除上限は136,500円)。

控除される金額はいくら?

毎年の控除額は、住宅ローンの年末残高の1%となっていますが、1年間の上限が決められています。消費税が必要な不動産の場合は年間最大40万円(認定住宅は最大50万円)で、消費税が不要な不動産の場合は年間最大20万円となっています。

住宅ローンの年末残高×1%=控除額
筆者
筆者

つまり、新築ならローン残高4000万円(認定住宅は5000万円)、中古ならローン残高2000万円が上限なんです。

それ以上、ローンを借り入れしても控除額は変わらないってことね!逆に下回ると、最大控除額が受けられなくなるわね。

いつまで控除されるのか?

原則、控除期間は10年間だったのですが、2019年10月の消費税増税の緩和措置として、一時的に13年間に延長になりました。その後、昨今のコロナの影響もあり、2021年の税制改正でも13年間に延長するとなっています。住宅ローンの控除期間が13年となるケースは、次の通りです。

  • 注文住宅は、2021年9月末までに契約完了し、2022年12月末までに入居完了すること
  • 新築分譲・中古住宅は、2021年11月末までに契約完了し、2022年12月末までに入居完了すること

年間最大40万円×13年間=最大520万円も減税されるのね!!

筆者
筆者

不景気だったり、増税だったり、消費活動の減退要因があると、控除期間が延長されるなどの税制改正が行われるんですよ。もしかしたら2022年以降も延長の可能性があります。

2021年の税制改正で何が変わったの?

1点目は、2019年10月の消費税増税のタイミングで、住宅ローン控除期間が10年から13年に延長になったのですが、 以下の契約期限と居住開始日期限を満たす場合に13年の優遇措置が継続されます。

1.契約期限
・注文住宅:令和2年10月~令和3年9月
・分譲住宅等:令和2年12月~令和3年11月
2.居住開始期限
・注文住宅、分譲住宅等を問わず令和3年1月~令和4年12月
・コロナウイルスによる居住開始日遅延は問わない。
・50㎡以上の住宅については、控除率や所得要件等について変更なし。

2点目は、控除期間13年の措置の延長分について、所得制限を設けた上で床面積要件を40㎡以上に緩和し、契約期限と居住開始日期限について以下の要件を満たす場合に適用します。

1.契約期限
・注文住宅:令和2年10月~令和3年9月
・分譲住宅等:令和2年12月~令和3年11月
2.居住開始期限
・注文住宅、分譲住宅等を問わず令和3年1月~令和4年12月
・40㎡以上50㎡未満については、合計所得金額1,000万円以下の者に適用。

住宅ローン控除の適用要件

住宅ローン控除を受けるには、次の要件を満たす必要があります。

新築住宅の場合

以下のすべての要件を満たす場合に適用となります。

  • 新築住宅取得の日から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること
  • 住宅ローン控除を受けようとする年の年間合計所得金額が3,000万円以下であること
  • 新築住宅の床面積が50㎡以上あり、床面積の1/2以上が居住用であること(特例適用の場合、合計年間所得1,000万円以下ならば床面積40㎡以上に緩和
  • 10年以上にわたり住宅ローンを返済する、ローン契約であること
  • 居住した年を合わせた5年の間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと

6ヶ月以内に居住することが条件ですが、転勤などにより単身赴任で家族が住んでいる場合は、一定の要件を満たせば控除を受けることができます。また、住宅ローンの返済期間が10年以上ある場合に対象となるため、途中で繰り上げ返済して、残りの返済期間が10年未満になると、控除適用の対象外となってしまいます。

また、売却益の3,000万円控除(自宅を売却した利益が3000万円までは非課税)と併用できないため、住み替えをする場合、どの制度を利用すると節税効果が最大になるのかを計算して選択すると良いでしょう。

中古住宅の場合

中古住宅の減税の適用要件は、新築住宅の要件をすべて満たしつつ、以下の要件のいずれかを満たす必要があります。

  • 住宅が建築された日から取得の日までの間が20年以下であること(耐火建築物の場合は25年以下
  • 耐震基準適合証明書を取得していること
  • 既存住宅瑕疵保険に加入していること
  • 耐震等級1以上の住宅性能評価書を取得していること

木造なら築20年以内、マンションなら築25年以内だと適用要件を満たすことになります。それを超える築年数の場合は、1981年に改正された建築基準法の耐震基準を満たしているか証明するための耐震適合証明書が必要になります。

リフォーム・増築の場合

新築住宅の要件をすべて満たしつつ、以下の要件を満たす必要があります。

  • 自己所有の住宅であり、所有者自身が居住する住宅の増改築等であること

上記満たしつつ、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 増築・改築・建築基準法に規定する大規模な修繕大規模な建て替え工事であること
  • マンションなどは、区分所有する部分の床や階段、壁の過半を修繕や模様替えする工事であること
  • 住宅の居室・キッチン・浴室・トイレ・洗面所・納戸・玄関・廊下の床又は壁の全部について行う修繕や模様替えの工事であること
  • 地震に対する安全性に関わる基準に適合させるための修繕や模様替え工事であること
  • 増改築後の家屋の床面積が50㎡以上(又は40㎡以上)であること
  • 工事費用が100万円を超えること
  • 増改築後の家屋の床面積の2分の1以上が自己の居住用であること
  • 工事費用の額の2分の1以上が自己の居住用部分に係わるものであること
  • 一定のバリアフリー改修工事
  • 一定の省エネ改修工事

住宅ローン控除の申請方法

住宅ローン控除の申請は、初年度(入居年の翌年)は確定申告で、2年目からは会社員の方であれば年末調整で控除書類提出することで、控除された結果、実際に減税された金額が還付金として口座に入金されます。

確定申告で必要になる書類には以下のようなものがあります。詳しくはお近くの税務署に電話して聞いてみるのが良いでしょう。

  • 確定申告書A(第一表と第二表)
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅ローン借入残高証明書
  • 源泉徴収票
  • 登記簿謄本
  • 建築請負契約書または売買契約書のコピー
  • 本人確認書類
筆者
筆者

私も初めての時は、税務署に電話して必要書類を確認しました。確定申告では、書類さえそろえていけば、税務署の人が書き方は教えてくれます。

この記事を書いた人

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー

2007年から不動産業界や金融業界で働いてきました。その知識をもとに、世の中の人に業界の裏事情も公開していきたいと思います。

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