[儲かる仕組み]利益モデルを解説!

ビジネス書

経営に関する世界の六賢人の1人として有名なエイドリアン・スライウォツキー著である「ザ・プロフィット ~利益はどのようにして生まれるのか~」を読んだ要約を紹介します。本書では、利益を生み出す23個のモデルが紹介されています。

顧客ソリューション利益モデル

顧客ソリューション利益モデルとは、最初に時間とエネルギーを注いで、顧客について知っておくべきことを学び、その知識を顧客固有のカスタマイズしたソリューション開発を行うことです。短期的な損失には目をつぶり、長期の利益に視点を置きます。

顧客ソリューションモデル

最初はコストがかかりますが、3~4か月経過すると製品は顧客の日常に溶け込み、スムーズに機能するようになってきます。導入期にフルタイム3人を投入していたとしても、最終的にはパートタイム1人の従業員で維持できる状態になります。

適用分野の例適用しにくい分野
・ITベンダー
・リスティング広告代理店
・個人向け金融サービス
・長期的な顧客関係を築く必要がない分野
・顧客が個別ソリューションを必要としない分野

製品ピラミッド利益モデル

製品ピラミッド利益モデルとは、最下段に低価格で低利益の廉価市場向け製品を配置し、最上段に高価格で高利益の利益製造マシーンとなる製品を配置するといった複数の価格帯を用意したモデルです。ピラミッド最下層の低価格帯商品は、他社がもっと安い値段で市場シェアを奪う可能性を断ち切るファイアーウォール(参入障壁)の役目として機能しています。

製品ピラミッドモデル

ピラミッドが異なる価格帯の寄せ集めではダメで、顧客もある種のピラミッドを形成しているので、廉価市場の顧客が求めている品質に落とし込む必要があります。

適用分野の例
・自動車メーカー(ヤリス、プリウス、クラウン、レクサス)
・クレジットカード(一般、ゴールド、プラチナ、ブラック)
・バービー人形(10ドル~数百ドル)

マルチコンポーネント利益モデル

マルチコンポーネント利益モデルとは、同じ製品を顧客の購買機会に応じて異なる価格と利益で提供するモデルです。顧客は購買機会に応じて異なる購買行動を示すため、価格感応性も非常に幅が生じます。ポイントは、必ず優良顧客向けに高収益コンポーネントを設けておくことです。

マルチコンポーネント利益モデル

多くのビジネスは、いくつもの構成要素(コンポーネント)から成り立っており、あるものは高く、あるもは低く、またあるものはゼロというように収益の面では著しく不揃いになっています。例えば、コーラは スーパーマーケットは認知のために利幅を下げているため、売上の大半は飲食店と自販機が占めています。

適用分野の例
・コーラ(スーパーマーケット、飲食店、自動販売機)
・書籍(店頭販売、企業向け販売、読書サークル)

スイッチボード利益モデル

スイッチボード利益モデルとは、複数の供給源を確保してパッケージ化して顧客に提供するエージェント型のモデルです。供給源の量が一定のしきい値(臨界点)を超えると上向きのスパイラル効きはじめるというものです。いわゆる仲介業、代理店業など紹介ビジネスにおいて成立しますが、臨界点を超えると、顧客と供給源の両方から取引したいと思われるようになります。

スイッチボード利益モデル

例えば、映画業界では重要な供給源は、ストーリーとタレントになります。ストーリーと複数のタレントをパッケージ化して映画製作会社に売り込みますが、この供給源を業界の15~20%確保しておくと、タレントも映画製作会社もあなたと取引したがるというものです。

リスクとしては、他社製品のパッケージの中に自社製品を組み込んでしまうと、顧客にとって最善の選択を客観的に行うことが難しくなるという点です。

適用分野の例
・不動産会社(物件数)
・旅行代理店(ホテル、交通手段)
・保険代理店(保険プラン)

時間利益モデル

時間利益モデルとは、新商品を市場に即時普及させることで、他社が追随するまでの短期間で荒稼ぎするモデルです。例えば、インテルは新しい半導体を開発し、真っ先に市場に送り出すことで、コピー商品が出回るまで利益を生み出しています。

時間利益モデル

これを実現するには、新商品だけでなく、それを即時普及させる仕組みが必要です。

適用分野の例
・ロボット掃除機
・スチームオーブンレンジ
・スマートフォン

ブロックバスター利益モデル

ブロックバスター利益モデルとは、会社における利益を数点の大ヒット商品(ブロックバスター)が生み出すモデルです。目指す成果が取るに足らないプロジェクトは容赦なく切り捨て、大きな可能性を秘めたプロジェクトについては徹底的な検討、議論を重ねてホームランを打つことに専念します。

高い目標を掲げ、次の大ヒット製品の誕生に向けて計画的に事を運ぶには「我々には可能だ」という揺るぎない自信が欠かせません。つまり、ブロックバスター利益モデルは、マインドゲーム、ある種の心理戦が必要になってきます。

また、リードプロジェクトにはバックアップ用のプロジェクトを動かしておく必要があります。仮にリード製品が失敗しても、次のバックアップ用プロジェクトに教訓を活かすことで無駄なプロジェクトを無くして大ヒットへの確度を高めることが可能になります。

適用分野の例
・医薬品開発
・ゲーム開発

利益増殖モデル

利益増殖モデルとは、同一の基盤となるアイディア・技術などの資産をさまざまな形で再利用して異なる商品を生み出すモデルです。一見、異なる商品でも技術やアイディアが同じであれば、研究開発や生産開発のコストが下がるため利益率が高くなります。

利益増殖モデル

ポイントは、ひとつのテーマにさまざまなバリエーションがあり、同一の資産から価値を抽出するさまざまな方法を見つけることです。例えば、工業用モーターで車やオートバイ、芝刈り機、モーターボートまで派生させることが可能です。また、作曲家には同じコード進行を使いまわして、メロディーラインだけ変えている人もいます。

適用分野の例
・工業用モーター
・作曲家
・キャラクター
この記事を書いた人

宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー

2007年から不動産業界や金融業界で働いてきました。その知識をもとに、世の中の人に業界の裏事情も公開していきたいと思います。

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